犬のリンパ腫に対する経口薬 Laverdia(ラベルディア) とは?

はじめに

犬のリンパ腫は、比較的よくみられるがんの一つで、治療法もこの10〜20年で大きく進歩してきました。
その中で近年注目されているのが、自宅で投与できる経口の抗がん剤「Laverdia(ラベルディア)」です。

この記事では、

  • Laverdiaとはどんな薬か
  • どんな特徴・メリットがあるのか
  • 従来の標準治療(注射の抗がん剤)とどう違うのか
  • 情報を見るときに気をつけてほしいポイント

を、飼い主さん目線でわかりやすく解説します。

目次

Laverdiaとはどんな薬?

Laverdia(一般名:verdinexor)は、犬のリンパ腫に対して使われる飲み薬の抗がん剤です。
2021年に米国で条件付き承認を受け、その後十分なデータが集まったことで2026年1月16日に正式承認されました。

特徴

  • 飲み薬(自宅投与)
  • 週2回投与(間隔は72時間以上)
  • 頻繁な通院が不要

Laverdiaはどうやってがんに効くの?

Laverdiaは、がん細胞の中で重要な働きをする「核外輸送」という仕組みをブロックします。

簡単に言うと、

がん細胞が増え続けるために必要な“スイッチ”を細胞の中に閉じ込めて、増殖を抑える薬

というイメージです。

これまでの抗がん剤とは異なる仕組みで働くため、
他の治療が効かなくなった場合の新しい選択肢として注目されています。

Laverdiaのメリット(飼い主さんにとって)

✔ 通院の負担が少ない

点滴治療のように、毎週・隔週での長時間通院が不要です。

✔ 高齢の犬・持病がある犬でも検討しやすい

強い副作用が出にくいケースが多く、体への負担を抑えたい場合に選択されることがあります。

✔ 治療を「続けやすい」

病院が苦手な犬や、生活スタイルの関係で頻繁な通院が難しいご家庭でも治療を続けやすい点は大きな利点です。

標準治療(CHOP療法)との違いは?

リンパ腫の治療で世界的に標準とされているのは、
CHOP療法と呼ばれる注射中心の抗がん剤治療です。

比較項目CHOP療法(標準治療)Laverdia
投与方法注射・点滴(通院)飲み薬(自宅)
目的高い確率で寛解を目指す(1年〜2年の生存を期待)病気の進行を抑える(1-2ヶ月)
効果の強さ強い穏やか
副作用やや強め比較的軽め
通院頻度多い少ない

大切なポイント

Laverdiaは「CHOP療法の代わり」ではありません。

  • しっかり寛解を目指す治療 → CHOP療法
  • 体への負担や生活の質を重視した治療 → Laverdia

というように、目的が異なる治療です。多中心型リンパ腫に対して長期的な寛解維持を示すデータは今のところありません。
ただし皮膚型リンパ腫(T細胞性)にはある程度有効性が認められたとの報告はありました。

⚠ 情報を見るときに気をつけてほしいこと

最近、

「飲み薬でリンパ腫が治る」
「CHOP治療と同じような効果」

のような誤解を与えかねない説明を見かけることがあります。

しかし実際には…

  • Laverdiaは万能な治療薬ではありません。副作用もあります。
  • 標準治療と同等の治療効果を示す薬ではないことは、専門家の間では共通認識です。
    (実際第一選択で多くの先生が薦めないことからもわかると思います)
  • 「どの治療を、どの目的で使うのか」が非常に重要です

これはLaverdiaが悪い薬という意味ではなく、
薬にはそれぞれ適した使いどころがあるということです。

以下2025年12月にFDAに承認された試験結果の抜粋です。

飼い主が飼育する犬を対象として、LAVERDIA®と対照群を比較する有効性フィールド試験を実施しました。
本試験には、B細胞性またはT細胞性リンパ腫を有し、これまで治療歴のない犬(未治療例)および過去の治療後に再発した犬の両方が含まれました。(LAVERDIA®投与群には106頭、対照群には28頭、体重9kg以上)
無増悪期間の中央値は、
LAVERDIA®群:37日(95%信頼区間:29〜57日)
対照群:23日(95%信頼区間:14〜30日) でした

さらに詳しく見ると完全奏功+部分奏功は開始後2週間で11%、4週で21%となっています。

この結果を見て、有意差は出ているけど大した差ではないな。。。という印象を受けました。
細胞実験レベルではありますがドキソルビシンやビンクリスチンなどの抗がん剤と併用した場合に腫瘍抑制効果が強まったとの報告も出ていますので、これからに期待したいと思います。

どんな場合にLaverdiaが選ばれる?

  • 高齢で強い抗がん剤が難しい
  • 心臓病や腎臓病などの持病がある
  • 点滴治療を続けるのが難しい
  • すでに他の治療を行い、次の選択肢を探している

このようなケースでは、現実的で大切な選択肢になります。
CHOPなどの体に負担のある化学療法を行う際にはその動物が治療に耐えられるのか、いざという時にすぐに病院に来れるかなどが前提ですので。

まとめ

Laverdiaは、

  • 自宅で使える
  • 体への負担が比較的少ない
  • 緩和はある程度期待できる

というメリットを持つ一方で、

  • 標準治療とは目的が異なる
  • 「治る」ことを期待する薬ではない

という点を正しく理解することがとても大切です。ちなみに費用面のお話をすると、安い薬ではないです。アメリカからの輸入薬であり、円安も相まって大型犬だとより金銭的な負担があり、多剤併用療法と比べてのメリットはあまりないです。

当院でもご希望があればご用意が可能ですが、輸入薬ですので時間がかかることをご了承ください。

CHOPの多剤併用治療はすごく怖い治療という印象を受ける方もいるかと思いますが、がん治療の経験豊富な獣医師のもとであればしっかりフォローできますのでご安心ください。

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