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これってクセ?ポメラニアンに見られる特徴的なてんかん発作

~もしかしたら、その動き「発作」かもしれませんよ~
「うちの子、急に足をピクッとさせることがあるけど、クセかな?」
「なんだか片足を上げて立ち止まって動かなくなる…ちょっと不思議だけどクセなのかな?」
そんな仕草、実は「てんかん発作」の可能性があるのをご存じですか?
ポメラニアンは、特に「焦点性てんかん発作」と呼ばれるタイプのてんかんがよく見られる犬種であることが、近年の研究でわかってきました。日本の神経専門の先生方が書かれたとてもいい論文です。(出典:PubMed: 36330863)
ポメラニアンに多い“焦点性てんかん”って?
焦点性発作とは、脳の一部に異常な電気活動が起こることで、体の一部だけに発作症状が現れるタイプのてんかんです。全身が激しくけいれんする「全般発作」とは異なり、一見「クセ」や「眠気」「注意散漫」に見えることも。
代表的な症状:
- 足をぴくぴくっと動かす(特に前肢・後肢)
- しばらく固まったように動かない
- 顔面がけいれんする、まばたきが増える
- 一点を見つめる
- よだれを垂らす
- 軽くふらつく
飼い主さんにとっては、「何か変だけど病気っぽくないな」と見過ごしてしまいがちですが、繰り返し起こる場合は注意が必要です。
論文でわかったポメラニアンの発作の特徴
2022年に発表された日本の研究では、ポメラニアンのてんかん発作の78.6%が焦点性発作であり、特に「四肢の収縮(ぴくつき)」を伴うケースが95.5%と高頻度であることが報告されています。
つまり、ポメラニアンにとって、体の一部がピクッと動いたり、こわばるような仕草は、実はよくある“てんかん発作のサイン”かもしれないのです。
どう対処すればいいの?
もし「うちの子にも思い当たる…」と感じたら、まずは以下のことを実践しましょう:
- 動画を撮る:発作時の様子を記録しておくと、診察時にとても役立ちます。
- 頻度を記録する:何時ごろ、どんな場面で発作が起きたかメモしましょう。
- 動物病院で相談:まだあまり一般的ではないので神経・整形外科に詳しい獣医師に診てもらうのがおすすめです。脳炎などの重大な病気が隠れていることを否定するためには厳密にはMRI、脳波検査などが必要ですが、まずは身体検査・神経検査をすることでその可能性を絞れます。
- 治療は継続がカギ:抗てんかん薬で症状が抑えられます。必要に応じて抗てんかん薬が処方されますが、服薬の継続がとても重要です。
おわりに
ポメラニアンに多く見られる焦点性てんかんは、軽度な症状で見逃されやすい一方、早期発見・治療により日常生活を快適に保つことが可能です。
ちなみに純粋なポメラニアンでなくとも、片親がポメラニアンでもこのような症状は見られますのでポメチワでもポメプーでも安心はできません。
「うちの子、ちょっと気になる動きをするな」と思ったら、ぜひ獣医師に相談してみてください。クセに見えていたその仕草が、あなたの愛犬からのSOSかもしれません。横浜市鶴見区、神奈川区、港北区などお近くにお住まいの方は是非当院へいらしてください。ポメラニアンの焦点性発作をはじめ、難治性てんかんの治療経験が豊富ですのでアドバイスさせていただきます。遠方の方はまずはお問い合わせください。