救急診療科

「いつもと違う」そんなサインを感じたら、まずはお電話ください。

ワンちゃん・ネコちゃんの急な体調不良やケガなど、救急の際は迷わずお電話を。ピア動物医療センターでは、救急対応も行っております。救急・集中治療の経験豊富な獣医師が担当いたしますのでご安心ください。

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(※診療時間外でもまずはお電話ください。可能な限り対応いたします)

異物を食べてしまった

食べても問題がないものから、少量でも中毒症状を起こすものまでさまざまです。
食べ物、薬物、植物などで中毒の可能性がある場合は、催吐処置や活性炭などで体外への排泄を促します。
消化できないもの、物理的な閉塞を起こすものは摘出を試みます。

催吐処置

注射薬を使用して吐き気を誘発します。当院ではトラネキサム酸という本来は止血剤として使用する薬剤を静脈注射しています。多くの患者さんで適応となりますが、食道を傷つける可能性が高い異物の場合は別の方法を選択します。

内視鏡下異物摘出

催吐処置が不適応、または催吐処置が無効であった場合は内視鏡により胃内の異物を摘出します。食渣が残っている場合は視野が限定されるため見落とす恐れがあります。胃切開の方が適していると判断した場合は手術に切り替えることもあります。

開腹による胃腸切開・吻合手術

異物が胃内にとどまっている場合は、胃切開手術が適応になります。すでに小腸へ流れて閉塞している場合は腸切開を行います。誤食してからの経過が長く、腸穿孔・壊死をしている場合は当該箇所を切除し、正常な腸同士を吻合する必要があります。

活性炭

チョコレート、薬物や毒物などを摂取した場合はなるべく早めに投与することが推奨されています。活性炭には消化管内の化学物質を吸着する作用、さらにすでに血中に吸収されている薬物の排泄促進効果もあります。
ちなみに解毒治療として胃洗浄がかつては行われていましたが、服毒後60分で行なった場合の洗浄率は10%程度であり臨床的な有用性は議論の余地があります。

呼吸が荒い・苦しそうにしている

呼吸が早くなる理由は多くあります。もともと心臓病がある子であれば、心不全が進行し胸部に水が溜まっている可能性を考えます。
上気道(鼻、喉、気管)や下部気道(気管支・肺)に根本的な原因がある可能性もあります。またこれ以外に多いのが「呼吸困難にみえる疾患」です。この”みえる”というのは呼吸器には異常がないということを意味します。

心疾患

小型犬に多い心疾患は僧帽弁閉鎖不全症という心臓の部屋を分ける弁が機能しなくなり、逆流を起こす疾患です。(詳しくはこちらをご覧ください。)結果的に逃げ場がなくなった血液が肺にあふれ出してしまうことで肺のガス交換機能が低下します。肺の内部に水があふれることを肺水腫、肺の外に水がたまることを胸水といいます。改善するには内科治療(強心剤、利尿薬、酸素室管理)が必要です。

呼吸器疾患

気管虚脱、喘息などの気管・気管支疾患、鼻~喉に閉塞性の異常がある上気道閉塞(短頭種に多い)、肺が硬くなる間質性肺疾患などさまざまな疾患があります。とくに閉塞性疾患は短時間で命に関わる状態まで悪化する危険性があります。

呼吸困難に”みえる”疾患

人間がストレスを感じると呼吸に変化が出るように、動物も脳になんらかの影響があると呼吸が変化します。
たとえば痛みストレス(腹痛、神経痛)があると一般的に呼吸数は増加します。
そのほか発熱・高体温状態を改善させるため換気を増やそうとする反応もあります。

ただしこの呼吸困難にみえる状態はなかなか一般の方には判断がつきませんので、獣医師の判断が出るまでは呼吸器に何か異常が出ているとみなしておいたほうがよいでしょう。

急に動けなくなった、足をつかない

このような症状を起こすきっかけは以下のようなものが多く、神経的または整形外科的な疾患が疑われます。

  • 階段から降りるときにジャンプしてから足を挙上する。
  • 抱っこしている際に落下した
  • ドッグランで走った後から足を挙上する
  • 遊んでいる最中にキャンと痛がってから震え、動けない

神経疾患

神経疾患は思い当たる出来事がなくても症状が急に見られることが多いです。
椎間板ヘルニアは頸部・胸腰部に発生することが多く、痛み→不全麻痺(一応動く)→麻痺→痛覚消失と悪化していきます。脊髄への圧迫が重度の場合は一気に痛覚消失へ至り、診断・治療が遅れるとその後の運動機能の回復率が低下します。
そのほか脳脊髄疾患がもともと潜んでいて、目が見えていなくて落下、足先感覚低下から段を踏み外してしまったなどの怪我につながることがあります。

整形外科疾患

骨折、脱臼、捻挫、靭帯損傷など様々な疾患があります。
完全に足がつけない(体重をかけられない)のか、少し足を気にする程度なのか。完全に挙げてしまっているようなら骨折や脱臼の可能性をまず考えます。軽い捻挫であれば安静にしていれば自然に回復することも多いです。
診断には整形外科学的検査(触診)やX線検査を行います。

整形外科疾患に類似する症状を出すものとして、爪折れ、肉球にとげが刺さったなどのケガもあります