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膀胱・尿路腫瘍の疑いがあると言われたら|横浜市鶴見区のピア動物医療センターへ
はじめに
- 膀胱腫瘍は比較的よく見られる腫瘍で、対応の選択肢もあります。
- まずは現状を正しく理解し、冷静に一歩ずつ進むことが大切です。
- 新しい分子標的薬(タイケルブ)の有効性が報告されており、従来の治療の2倍生存期間が延びるとされています。
「疑いがある」と言われた理由
- 超音波検査や尿検査で「腫瘍を疑う所見」が見られた
- 血尿や頻尿といった症状が持続している
- 「移行上皮癌(TCC)」が最も多いタイプの膀胱腫瘍
🔍補足:「確定診断」には追加の検査が必要です(細胞診、生検など)
今後の検査と確定診断
- 追加検査の目的は「腫瘍なのか」「どんな腫瘍なのか」をはっきりさせること
- 一つの検査で確定できなくとも、検査を組み合わせることで診断が可能となることがあります。
- 主な検査方法:
- 尿細胞診(尿中に腫瘍細胞が出ているか確認)
- BRAF遺伝子検査(尿サンプルでガン細胞変異を高確率で判断可能)
- 超音波ガイド下の細胞採取
- CT検査(他臓器への転移チェック)
治療方法と選択肢
飼い主さんと一緒に方針を考えていきます。以前は治療としては抗炎症薬単独が多かったのですが、現在は分子標的薬の登場により、抗炎症薬+抗がん剤(分子標的薬)の組み合わせで治療を行うことが多いです。
内科的治療(お薬)
- 消炎鎮痛薬:腫瘍の進行を抑える効果があることが知られています
- 抗がん剤治療:ヒトの乳がんに対する治療薬(タイケルブ)が有効であると報告されています。高価な薬ではありますが、「何かしてあげたい」と思う飼い主様にとってはがんの進行を遅らせる良い薬です。
緩和ケア
- 完治が難しい場合でも、苦痛を減らす治療が選べます(疼痛緩和、抗生物質)
- 尿路の詰まりや痛みを和らげる処置やお薬など
- 排尿が困難となった場合には尿道カテーテルを留置することも可能です。
予後と今後の見通し
- 完全に治すことが難しいケースもありますが、治療によって数ヶ月〜1年以上元気に過ごせる犬も多くいます
- 定期的な検査と症状のチェックで、早期に変化に対応できます
最後に
膀胱腫瘍の診断は、決して「終わり」ではなく、これからどう生きるかを考えるスタートです。
愛犬のためにできることはたくさんあります。ご不安なことがあれば、どんな小さなことでもお話しください。飼い主様と愛犬にとって最善の治療を提案します。