犬のがんは痛い?がん性疼痛と緩和ケア|横浜市鶴見区の動物病院

犬のがん治療・緩和ケア
犬のがんは痛い?
がん性疼痛と緩和ケアについて

がんの治療というと、手術や抗がん剤など 「腫瘍を治療すること」に目が向きがちです。 しかし、それと同じくらい大切なのが、 痛みや不快感をできるだけ減らし、その子らしく過ごせる時間を守ること です。

がんと診断されたけれど、
この子は痛いのでしょうか?

手術や抗がん剤をしない場合、
痛みを我慢させるしかないのでしょうか?

高齢なので積極的な治療はせず、
苦しくなく過ごさせてあげたいです。

犬のがんについてご相談を受けていると、 このようなお話をよく伺います。

がんの患者さんに対して行う緩和ケアは、 「治療を諦めたときだけ行うもの」ではありません。 がんと診断された早い段階から、 手術や抗がん剤治療などと並行して行うこともあります。

犬のがんでは、なぜ痛みが起こるのでしょうか?

がんによる痛みは、 腫瘍そのものだけが原因とは限りません。 腫瘍が大きくなって周囲の組織を圧迫したり、 炎症を起こしたり、 骨や神経に影響することで痛みが発生します。

特に、骨肉腫などの骨腫瘍口腔内腫瘍、 脊椎や神経に関係する腫瘍、 周囲の組織に浸潤する大きな腫瘍では、 痛みが生活の質に大きく影響することがあります。

01
炎症性疼痛
炎症による痛み

腫瘍周囲で起こる炎症によって、 組織が刺激されて生じる痛みです。

02
骨性疼痛
骨から生じる痛み

骨腫瘍や骨への浸潤では、 骨膜や周囲組織が刺激され、 強い痛みを伴うことがあります。

03
神経障害性疼痛
神経への刺激・圧迫

腫瘍が神経を圧迫したり浸潤すると、 通常の炎症性疼痛とは異なる痛みが 生じることがあります。

04
慢性疼痛
痛みに過敏になる状態

痛みが長く続くことで神経系が過敏になり、 少しの刺激でも痛みを感じやすくなることがあります。

がん性疼痛は「一種類の痛み」ではありません。

一つの痛み止めだけで十分に改善しない場合でも、 痛みの原因に応じて治療を組み合わせることで、 より良いコントロールができることがあります。

犬は痛みを隠すことがあります

犬は人のように「ここが痛い」と伝えることができません。 また、強く鳴いたり暴れたりするだけが 痛みのサインではありません。

次のような日常生活の変化が、 実は痛みによって起こっていることがあります。

散歩に行きたがらない
寝ている時間が増えた
立ち上がるのに時間がかかる
食欲が落ちた
触られるのを嫌がる
夜に落ち着かない
呼吸が速い・浅い
家族から離れて過ごす

「年齢のせいかな」と思える変化でも、 疼痛管理を行うことで活動性や食欲が改善することがあります。 がんの患者さんでは、 普段の生活の変化も重要な評価項目です。

がんの痛みは、複数の方法を組み合わせて治療します

現在の獣医療では、 がん性疼痛に対して複数の作用を持つ治療を組み合わせる 「マルチモーダル鎮痛」 という考え方が大切です。

痛みの原因に合わせて治療を組み合わせます
炎症の痛み 消炎鎮痛薬など
神経の痛み 神経障害性疼痛への治療
骨の痛み 骨に対する治療
局所の痛み 局所麻酔・神経ブロックなど

例えば炎症による痛みには消炎鎮痛薬、 神経が関係する痛みには神経障害性疼痛に対する薬、 慢性化した痛みには異なる作用機序を持つ 鎮痛補助薬を組み合わせることがあります。

骨腫瘍では骨の疼痛を軽減することを目的とした治療を加えたり、 腫瘍の場所によっては 局所麻酔や神経ブロックを行うこともあります。

「痛み止めを使ったけれど効かなかった」 =もう方法がない、ではありません。

がんによる痛みの仕組みを考え、 作用の異なる治療を組み合わせることで 改善できる可能性があります。

麻薬を使用しなくても、できる疼痛管理があります

「がんの痛みには、とても強い薬を使わなければいけないのでは」 と心配される方もいらっしゃいます。

実際には犬のがん性疼痛には、 消炎鎮痛薬、神経障害性疼痛に対する薬、 鎮痛補助薬、局所麻酔、骨に対する治療など、 さまざまな選択肢があります。

年齢、腎臓や肝臓の状態、 現在使用している薬、 腫瘍の種類や場所などを確認しながら、 その子に適した方法を組み合わせます。

薬だけではなく「腫瘍そのもの」への治療が有効なことも

緩和ケアというと、 薬で症状を抑えることだけを イメージされるかもしれません。

しかし、腫瘍を小さくしたり、 圧迫を軽減したりすること自体が、 非常に効果的な疼痛治療になる場合があります。

完全に治すことを目的とした大きな手術を希望しない場合でも、 痛みを減らすことを目的とした処置を検討することがあります。 また、骨腫瘍などでは 緩和的な放射線治療 が選択肢になることもあります。

当院で対応できない治療についても、 必要に応じて専門施設をご紹介しながら 治療方針を検討します。

「抗がん剤をしない」ことと「何もしない」ことは違います
PALLIATIVE CARE
治療の目的は、
がんを小さくすることだけではありません。

痛みを減らし、食欲を維持し、 吐き気を抑え、眠れるようにし、 散歩や家族との時間をできるだけ守ることも、 大切ながん治療の一つです。

高齢だから、持病があるから、 手術までは希望しないから、 抗がん剤治療に抵抗があるから。

そのような理由で積極的ながん治療を希望されないことは、 決して珍しくありません。

その場合でも、 痛みを軽減し、食欲や睡眠、 動きやすさなどを改善するために できることがあります。

緩和ケアの大きな目標

「寿命をどこまで延ばすか」だけではなく、 その子にとって良い一日を、できるだけ増やすこと。 それも、がん治療の大切な目的です。

「まだ元気だから相談するのは早い」とは限りません

がん性疼痛は、 強くなってから治療を始めるよりも、 早い段階から評価し、 必要に応じて対策しておく方が 管理しやすいことがあります。

また、状態が悪くなってから突然 「これからどうするか」を決めることは、 ご家族にとっても大きな負担になります。

元気や食欲がある段階から、 「この腫瘍では今後どんな症状が出る可能性があるのか」 「痛みが出たらどのような治療ができるのか」 「自宅では何を見ればよいのか」 を知っておくことは、とても大切です。

CANCER CONSULTATION
治療するかどうかを決めていなくても
ご相談いただけます

がんと診断された後の治療方針、 セカンドオピニオン、 痛みのコントロール、 緩和ケアについてもご相談ください。

腫瘍科では「治療するか」を決めてから受診する必要はありません

ピア動物医療センターでは、 犬・猫の腫瘍について、 診断から治療方針のご相談、 セカンドオピニオン、 緩和ケアまで対応しています。

手術を受ける予定はないけれど相談したい
抗がん剤をするかどうか迷っている
他院でがんと診断され、今後の経過を知りたい
痛みだけでも何とかしてあげたい
高齢なので体への負担が少ない方法を相談したい
セカンドオピニオンを受けたい

腫瘍の種類や進行度だけではなく、 年齢、持病、ご家族が希望される治療、 通院できる頻度なども考慮しながら、 その子に合った方法を一緒に考えていきます。

当院には腫瘍科認定医Ⅱ種が常勤しており、 必要に応じて超音波検査、細胞診、病理検査、 X線検査などを組み合わせて評価します。

PIA ANIMAL MEDICAL CENTER
犬のがん・痛み・緩和ケアで
お悩みの方へ

「最近がんと診断された」
「治療を続けるか迷っている」
「痛みがあるのではないか心配」
「できるだけ苦しまずに過ごさせてあげたい」

そう感じた段階で、一度ご相談ください。
がん治療は、 手術や抗がん剤を行うことだけではありません。

※治療方法や使用できる薬剤は、 腫瘍の種類、症状、年齢、 腎臓・肝臓などの状態、 現在使用している薬によって異なります。 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、 個々の患者さんに対する診断・治療を示すものではありません。
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