犬猫の健康診断に追加できる検査|関節炎検査と犬のがん検査について

目次

健康診断に追加できるオプション検査

健康診断では、一般的な血液検査や尿検査だけでは分かりにくい病気のリスクを調べるために、さまざまなオプション検査を追加することができます。

今回は、当院で健康診断に追加できる検査の中から、関節の健康状態を調べる「CⅡNE」と、犬のがんのスクリーニングを目的とした「Nu.Q® Vet Cancer Test」をご紹介します。


尿中CⅡネオエピトープ/クレアチニン比(CⅡNE)

関節軟骨の変化を尿で調べる検査

CⅡNE(シーツーネオエピトープ)は、犬・猫の変形性関節症(関節炎)を早期に見つけるための補助検査です。

関節の表面は「関節軟骨」というクッションのような組織で覆われています。その主成分のひとつが「Ⅱ型コラーゲン」です。

関節軟骨に変性や障害が起こるとⅡ型コラーゲンが分解され、その一部である「CⅡネオエピトープ」が血液中を経て尿中へ排出されます。

CⅡNE検査では、この物質を尿から測定することで、関節軟骨で変化が起きている可能性を調べます。

こんな犬・猫におすすめです

  • シニア期に入った犬・猫
  • 最近、散歩のスピードが遅くなってきた
  • 階段を嫌がるようになった
  • ソファやベッドに飛び乗らなくなった
  • 散歩に行きたがらなくなった
  • 立ち上がるまでに時間がかかる
  • 「年齢のせいかな?」と思う行動の変化がある
  • 症状が出る前から関節の状態をチェックしておきたい

犬や猫の関節炎は、必ずしも「足を引きずる」という分かりやすい症状から始まるわけではありません。

特に猫では、痛みがあっても歩き方に大きな変化が見られず、ジャンプをしなくなる・高い場所へ行かなくなる・寝ている時間が増えるといった行動の変化として現れることがあります。

CⅡNEが高かった場合は?

CⅡNEが高値の場合には、関節軟骨で変化が起きている可能性があります。

必要に応じて、

  • 関節の触診
  • 歩き方の評価
  • レントゲン検査
  • その他の画像検査

などを行い、変形性関節症がないか詳しく調べます。

ただし、CⅡNEだけで変形性関節症を診断することはできません。

また、重度の関節炎ではすでに軟骨そのものが減少しているため、逆にCⅡNEが高くならないことがあります。そのため、症状や身体検査、画像検査などを組み合わせて総合的に判断します。
初期の場合はグルコサミン・コンドロイチンや抗炎症作用のあるサプリメントが勧められます。


Nu.Q® Vet Cancer Test(犬)

血液から「がんの可能性」を調べる新しいスクリーニング検査

Nu.Q® Vet Cancer Testは、犬のがんを早期に発見するための血液スクリーニング検査です。

一般的な健康診断の血液検査では、肝臓や腎臓、血糖値などの異常を調べることはできますが、「体のどこかにがんが隠れていないか」を直接スクリーニングする検査ではありません。

Nu.Q® Vet Cancer Testでは、血液中に存在する「ヌクレオソーム」という物質の量を測定します。

ヌクレオソームとは?

私たちや犬の細胞の中では、DNAが「ヒストン」というタンパク質に巻き付いて収納されています。このDNAとヒストンのまとまりを「ヌクレオソーム」と呼びます。

細胞が壊れるとヌクレオソームが血液中へ放出されます。

がんでは細胞の増殖と細胞死が活発になるため、一部のがんでは血液中のヌクレオソーム濃度が高くなることが分かっています。

Nu.Q® Vet Cancer Testは、このヌクレオソームを測定することで、体内にがんが存在する可能性を調べる検査です。

特に見つけやすいとされているがん

これまでの研究では、特に

  • リンパ腫
  • 血管肉腫
  • 組織球性肉腫

などの全身性のがんで検出されやすいことが報告されています。

一方で、すべてのがんを同じように検出できるわけではありません。

皮膚や局所に発生する一部の腫瘍などでは、がんが存在していても検査値が上昇しないことがあります。

そのため、「Nu.Qが正常だから、がんが100%ない」という検査ではありません。

こんな犬におすすめです

  • 7歳以上のシニア犬
  • がんをできるだけ早く発見したい
  • 健康診断を毎年受けている
  • がんが比較的多い犬種
  • 過去に腫瘍を経験したことがある
  • 血液検査だけではなく、もう一歩踏み込んだ健康診断を受けたい
  • お腹の中にしこりがあるが、良性・悪性を判断する補助検査のひとつとして

特にシニア期では、通常の健康診断に加えて、がんのスクリーニングという視点を取り入れることも大切です。

検査が高値だった場合は?

Nu.Q® Vet Cancer Testが高値だった場合でも、それだけで「がん」と診断されるわけではありません。

検査結果や年齢、症状などに応じて、

  • 詳しい身体検査
  • 血液検査
  • レントゲン検査
  • 腹部・胸部超音波検査
  • CT検査
  • 細胞診・病理検査

などを組み合わせ、がんが隠れていないか詳しく調べていきます。

こちらのページもご参考にご覧ください(富士フィルム:犬のがん検査)


健康診断は「異常が出てから」ではなく「元気なうち」に

犬や猫は、人間のように「少し腰が痛い」「最近なんとなく体調がおかしい」と言葉で伝えることができません。

そのため、飼い主さまから見て元気に見えていても、病気が少しずつ進行していることがあります。

CⅡNEやNu.Q® Vet Cancer Testは、今までの健康診断では捉えにくかった変化を見つけるきっかけとなる検査です。

もちろん、どちらの検査も単独で病気を確定診断するものではありません。

一般的な血液検査・尿検査・身体検査・画像検査などと組み合わせることで、より充実した健康診断につながります。

「うちの子にはどの検査を追加した方がいいの?」という場合は、年齢や犬種・猫種、これまでの病歴、現在の生活の様子などを確認したうえでご提案いたします。

横浜市鶴見区で犬・猫の健康診断をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

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